「これから何をしたいですか?」
そう聞かれて、すぐに答えられますか?
特に50代、60代になって、
「これからは自分らしく生きよう」
「本当にやりたいことをやろう」
なんて言われても、
「いや、その“やりたいこと”が分からないんだけど」
と思う人もいるかもしれません。
でも最近、私は思うんです。
本当に「やりたいことがない」のでしょうか。
もしかしたら、ないのではなくて、
多すぎて、自分でも整理できていない。
そんな人もいるんじゃないでしょうか。
私は、わりと何でも「そこそこ」できる人でした
自分で言うのもなんですが(笑)、私は昔から手先が器用な方です。
飲み込みも早いらしく、「頭の回転が速いね」と言われることもよくあります。
だから、本当に苦手なことや嫌いなこと以外は、やってみるとだいたいそこそこできる。
料理もするし、片付けも得意な方。
編み物を習えば講師資格まで取り、ラッピングやポーセラーツなど、手芸系のこともいろいろやってきました。
仕事もそうでした。
まったくの素人から保険の仕事を始めて、新人を育成するところまで経験しました。
脳科学を学び始めたら、今度は自分が講座をする側になった。
AIも「ちょっと使ってみよう」から始まって、今では仕事の相談をしたり、ホームページや仕組みづくりに活用したりしています。
こうして並べると、
「いろいろできていいですね」
と思われるかもしれません。
でも、本人としては、ちょっと違ったんです。
「何でもできそう」は、「私はこれのプロです」にならない
いろいろなことができる。
興味を持ったら、ある程度のところまでは比較的早く行ける。
でもその一方で、
「私はこれのプロです!」
と言えるものが、よく分からない。
編み物の人でもない。
保険の人だけでもない。
美容だけでもない。
脳科学だけでもない。
いろいろできるけれど、一つだけを見れば、その道を何十年も極めている人がいる。
だから私は長い間、自分のことをどこか「器用貧乏」だと思っていたんです。
できることが多いことと、
「これが私の強みです」
と言えることは、私の中ではなかなか結びつきませんでした。
でも、最近になって見え方が変わりました
きっかけは、
「私は何をやってきたんだろう?」
ではなく、
「違うことをしているように見えて、その中で私は何をしてきたんだろう?」
と考えるようになったこと。
塾では、学んだことを分かるように伝える。
保険では、まったく知らない世界を自分で理解して、人に伝え、新人を育てるところまでやる。
脳科学も、学んだことを自分なりに理解して、日常で使える形にして伝える。
AIも、自分で試しながら、仕事にどう使えるのかを考える。
扱っているものは、全部違います。
でも、
理解する。
整理する。
分かる形にする。
伝える。
そして、その人が自分で動けるようになるところまで関わる。
こうして見ると、
「あれ? 私、ずっと同じことをしてない?」
と思ったんです。
強みは、「何ができるか」だけでは見つからない
私たちは「強み」というと、
料理が得意。
数字に強い。
人前で話せる。
資格を持っている。
そんな「できること」を思い浮かべがちです。
もちろん、それも強みの一つ。
でも、その奥には、
「その人が、どんなふうにそれをやっているのか」
という、その人ならではの力があります。
同じ仕事をしていても、
人と人をつなぐのが得意な人。
複雑なものを整理するのが得意な人。
ゼロから始めるのが得意な人。
一つのことを深く掘るのが得意な人。
人の良いところを見つけるのが得意な人。
強みは、肩書きの中だけにあるわけではないんです。
だから、自分では
「私、いろいろやってきたけれど、何にもなっていないな」
と思っている経験も、
見方を変えると、同じ強みを何度も使ってきた証拠なのかもしれません。
脳は、これまでの経験から「私はこういう人」を作っていく
私たちは、これまで経験してきたことをもとに、自分なりの考え方や選択のパターンを作っていきます。
だから、
「私は飽きっぽいから」
「何をやっても中途半端だから」
「今さら何か始めても」
そんなふうに、自分のことを説明する言葉も、いつの間にか決まっていることがあります。
私自身も「器用貧乏」という言葉で、自分を見ていました。
でも、
「いろいろ手を出して、一つに絞れない人」
と見るのか、
「違う分野でも、理解して、整理して、人に伝え、形にする力を使ってきた人」
と見るのか。
同じ経験なのに、見える自分はずいぶん違います。
自分を知るというのは、新しい何かを足すことだけではなく、
すでにある経験を、違う角度から見直してみることでもあるのだと思います。
「やりたいこと」を無理に一つに絞らなくてもいい
「これから何をしたい?」
そう聞かれると、
たった一つの正解を見つけなければいけないような気がします。
でも、もしかしたら、
「何をするか」
を先に決めなくてもいいのかもしれません。
今までやってきたことを並べてみる。
仕事だけじゃなくていい。
子育てでも、地域活動でも、趣味でも、誰かの相談に乗ってきたことでもいい。
その中で、
「私は、いつもどんなことをしていた?」
と見てみる。
すると、バラバラだった点と点の間に、
「あ、これって同じ私だ」
という線が見えてくることがあります。
私の場合も、今になってようやく、いろいろな経験が一つの方向に向かっていたことが見えてきました。
だから以前より、
「いろいろやってきた人」ではなく、
「これが私の強みなんだ」
と思えるようになってきたんです。
まだ、名前のついていない強みがあるかもしれない
「やりたいことが分からない」
と思っていると、
つい「何か新しいものを探さなきゃ」と考えてしまいます。
でも、新しいものを探す前に、
今までの自分を一度、並べてみてもいい。
あなたが当たり前にやってきたこと。
人からよく頼まれること。
なぜか苦にならないこと。
違う場所でも繰り返していること。
そこに、
まだ自分では「強み」と呼んでいない何かが隠れているかもしれません。
そして、それが見えてくると、
「これから何をする?」
の答えも、少し変わってくるかもしれません。
やりたいことが分からないんじゃなくて、
まだ、自分の中にあるものがつながっていないだけかもしれない。
だから私は、こういう話をするとき、
すぐに答えを出すより、
「じゃあ、あなたの場合は?」
を一緒に考えてみたいと思っています。
自分ではバラバラに見えている経験も、誰かと話してみると、思いがけない共通点が見えてくることがありますから。
読んでいて「じゃあ、私の場合は?」と思った方へ
まだ相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。
「やりたいことが分からない」
「いろいろやってきたけれど、何が強みなのか分からない」
「私の経験にも、何か共通するものがあるのかな?」
そんな段階で十分です。
「ちょっと聞いてみたい」からどうぞ。
答えを決めてから相談するのではなく、
話しながら一緒に見つけていきましょう。